コドモン Product Team Blog

株式会社コドモンの開発チームで運営しているブログです。エンジニアやPdMメンバーが、プロダクトや技術やチームについて発信します!

部署間の壁を乗り越える!企画を通じた合意形成のポイント

はじめに

こんにちは、株式会社コドモン ICT事業戦略部の佐久間せんかです。 私が所属しているICT事業戦略部は、2024年9月に新しく立ち上がった部署で、普及推進部(いわゆる営業部)や開発部、カスタマーサクセス部など、さまざまなチームの戦略を横断的に取りまとめ、事業としての優先度整理や戦略推進を行う役割を担っています。

部署横断が求められる背景

これまでは、普及推進部や開発部、カスタマーサクセス部などそれぞれが個別に戦略を練り、実行していました。 しかし、部署ごとに優先度がバラバラだったため、事業全体としてどんな順番で何を優先して進めるべきかが曖昧になり、「全体最適な意思決定がしづらい」という課題がありました。

そこで新たに設立されたのが、このICT事業戦略部。社内の戦略を整理・統合しながら、部署間の連携を促進し、事業を一丸となって前に押し進めていくことを目指しています。

さまざまな部署を巻き込みながら戦略推進・企画を進める中で、部署をまたぐことによる「合意形成の難しさ」を実感しました。 当初は悩みながら進めることが多かったものの、最近は割とスムーズに合意形成できている自覚があるので、この間の試行錯誤の中で見えてきた学びを自分のためにも、似たような経験をしている人のためにも、この機会に棚卸しをしてみようと思います。

試行錯誤を経て見えてきた、5つの学び

1. Win-Winを意識する

〜自分の提案が巻き込む相手にとってもメリットになるかを明確にする〜

はじめは、「これをやると事業にとっていい」という大枠だけを伝えていたのですが、それだと各部署が今目の前にある仕事との優先度が難しいですし、目の前にある仕事の方が大事だというロジックが成り立ち、「協力はしたいのだけど、協力しづらい・・」という状況を生み出してしまうと感じました。そこで大事だと思ったのが、相手の部署のKPIや困りごとを把握し、「だからこそ、この施策はあなたのところにもメリットになるんです」を示すこと。

具体的なメリットを提示してからというもの、驚くほど「協力します!」という返事が増えました。今後もまずは相手が何を求めているのかをキャッチするところからスタートしようと思います。

2. 情報は分散させず、予め構成したドキュメント内で情報をまとめる

〜議事録は都度用意せずに、一つのドキュメントに集約する〜

企画をまとめる際、各所へ相談する中、議事録を会議ごとに作成してしまうと、過去の意思決定や議論の流れを追うのに手間がかかります。そのため、「目的・背景・課題・論点」を一つのドキュメントに集約し、論点ごとに情報を蓄積する形をとることにしました。

この方法により、

  • 過去の議事録を探す手間がなくなる
  • 何が主要論点で、どこまで議論が進んでいるのか一目でわかる
  • どの論点が解消されれば次に進めるのかが全員が理解できる

といったメリットがあり、多くの人に協力を仰ぐ企画では特に有効だと感じています。

3. 課題設定はシンプルに

〜関係者が“自分の言葉”で説明できるレベルを目指す〜

課題の理解が深まるほど、自分の知識もどんどん増えていきます。その結果、「これも入れたほうがいいかも」「あれも必要かも」と、詳細な分析結果や報告内容を資料に盛り込んでしまっていました。

意思決定者や相談・依頼先のメンバーは、企画者ほど細かく現場の状況を知らないし、そんなに詳細まで知る必要もないと気づきました。そこで背景・課題・影響範囲をシンプルに噛み砕いて伝えることを意識してみました。

  • 背景:市場や顧客がどう変化しているのか
  • 課題:このままだとどんな問題が起きるのか
  • 影響:どの部署や業務にどんなインパクトがあるのか

を端的にまとめて、「この施策は○○のために必要」と関係者の誰もが自分の言葉で説明できるレベルに落とし込んでみました。そうすると、不思議なことに相談・依頼先のメンバー自身が周りに説明、説得してくれるようになり、部署内への課題共有がスムーズになりました。

情報をそぎ落として伝えることで、むしろチームの理解が深まり、施策の推進力が増すことを実感しました。

4. 事前の対話・根回しを徹底する

〜会議本番までに主要メンバーの意見や懸念を拾う〜

過去には「みんなで一緒に話し合ったほうが早い」と思って一気に全員を集めて会議した結果、初耳の意見が飛び出して議論が迷走してしまうということもよくありました。そこから学んだのが、主要キーマンや部署のマネージャーに先に声をかけて、こっそり意見をヒアリングする大切さ。

  • ネガティブな反応をあらかじめ察知できる
  • 協力してくれる人を早い段階で味方につけられる
  • 本番会議では既に方向性がある程度固まっているのでスムーズ

「根回し」という言葉が、自分自身はネガティブに思えてしまうのですが、部署横断プロジェクトではむしろ大事なステップだと感じました。

5. 打ち手は複数の選択肢を用意しておく

〜こだわりすぎず、柔軟に対応できるようにする〜

最後の学びは、「自分の考えたこの案しかない!」と固執しないこと。もちろん、自分なりにベストだと思うプランはあるのですが、他部署から見れば「その条件は受け入れがたい」こともあるし、実際に観点が足りておらず、別のプランの方がいい場合もあります。そんなとき、「大枠としてこういう方向を目指したいが、実現方法はいろいろある」と伝えた上で原案を提示すると、相手も代替案を出しやすくなるし、いい企画になるのでは、と思います。しかも反対にあったときの回避もしやすいので、企画者としての心の平穏も保てます(笑)

  • プランAがダメでも、プランBならOKになる可能性がある
  • ほかのメンバーが新たなアイディアを出してくれるきっかけになる

どんな手段が最適かは実際にやってみないことにはわからないので、次回の企画でもこの柔軟性は大切にしたいと思っています。

まとめ:今後に活かす“再現性”のための5ポイント

  • Win-Winを意識する
  • 情報は分散させない
  • 課題設定をシンプルにして、関係者が自分の言葉で説明できる状態にする
  • 事前対話や根回しをしっかり行い、会議本番での混乱を減らす
  • 打ち手は複数用意し、状況に合わせて柔軟に変更できる余地を残す

今振り返ると、どれも当たり前に聞こえるかもしれませんが、実際にやってみるとすごく効果があったポイントばかりです。今後もICT事業戦略部として、部署横断プロジェクトを推進していくうえで、この5つを忘れずに再現性高く実行していきたいと思います。 もし似たような状況で苦戦している方がいれば、少しでも参考になればうれしいですし、逆に「こんなやり方がうまくいったよ!」という事例があれば、ぜひ共有いただけると幸いです。