こちらは「コドモン Advent Calendar 2025🎄」の9日目の記事になります。
コドモンでメモリー事業(写真共有・販売事業)のプロダクトマネージャーをしている中村です。
担当している写真販売機能は、保護者向けコドモンアプリの中に組み込まれています。保護者の方にとっては、毎日使う連絡帳や出欠連絡と同じ場所で、我が子の写真も見られる体験ができる機能です。
私たちが「メモリー事業」と呼ぶのは、扱っているのが単なる写真ではなく、保育園での思い出そのものだからです。お迎え時の親子の会話のきっかけになり、成長の記録として残っていく——そんな価値を大切にしています。
今回は、保護者向けアプリの写真閲覧・購入体験を改善するために、私たち開発チームがどのように仮説検証を回したか、その事例を紹介します。
写真販売サービス改善へのチャレンジ
子どもの大切な瞬間を購入して写真として残せることは、保護者の方にとって価値ある体験です。この価値を多くの方に届けることが、結果として事業の成長にもつながります。
今回は保護者側のプロダクトの写真閲覧・購入体験の向上に焦点を当て、プロダクトドリブンなアプローチで取り組んだ仮説検証の事例を紹介します。
目指すのは、提供価値を高めながら同時に収益性も向上させることです。
仮説の検証サイクル
事業のKPIになる購入率を保護者側のプロダクトから上げていくことを考える上で、私たちは以下の4つのアプローチを循環させ、仮説の量と質を向上させました。
- 定量的に現状を把握して課題を発見
行動ログを分析し、離脱ポイントを特定 - 他サービスの施策理解
類似サービスの施策の背景にある意図を考察し、応用可能性を検討 - 定性調査で感情を理解
インタビューや同属性の方への聞き取りで、データでは見えない感情面を把握 - 施策結果から新たな仮説を導出
効果測定をもとに成功/失敗要因を分析し、次の仮説へ展開
ただ、保育領域の写真サービス特有の難しさがあります。
保護者の方は子どもを寝かしつけた後などの限られた時間で、数百から数千枚もの写真から選ばなければならない「ちゃんと比較検討したいが時間がない」というジレンマ。さらに「我が子の写真に値段はつけられない」という感情と「総額は気になる」という現実のバランス。そして公開期限を過ぎたら二度と買えないというプレッシャーも。
最初は、このような一般的なECとは異なる制約と感情が複雑に絡み合う中で、どの仮説が有効なのかわかりませんでした。そこで、確からしい仮説を複数立て、最小限の工数・仕様で最短期間で仮説検証を繰り返しました。
当初検証した主な仮説は以下になります。
仮説①:写真を比較検討しやすくすると購入につながる
- より多くの写真を一度に見られるよう改善
- 写真の見やすさを向上
仮説②:購入フローをスムーズにすると購入につながる
- 購入内容をわかりやすく表示
- 購入ステップを簡略化
仮説③:購入期限を意識してもらうと購入につながる
- 適切なタイミングでのリマインド
- 期限が近い写真の可視化
施策をリリースした翌日に効果検証を始めるというスピード感で、複数施策を最小規模で実施し続けました。結果、「仮説③:購入期限を意識してもらうと購入につながる」がもっとも大きな効果を示したため、この方向性をさらに深掘りすることにしました。
提供価値と収益性の両立を目指して
自分も9ヶ月の子どもを育てていますが、定性調査を進める上で想像していなかった発見がありました。
当初は「写真一覧から我が子が写っていそうな写真を選択して詳細を見る」という効率的な行動を想定していました。しかし実際は、数百から数千枚ある写真の詳細を1枚1枚すべて確認していたのです。「自分の子どもが少しでも写っている写真を見逃したくない」という想いがここまで強いとは想像を超えていました。
この発見から「大切な思い出を買い逃してしまうかもしれない」という不安こそが、解決すべき本質的な痛みだと確信しました。
また、他サービスの施策理解からも「自分の子どもの写真を訴求で活用すると行動が促される」という仮説も得ました。
そこで、カートに入っている写真は自分の子どもが写っている可能性が高いという特性と効果の高かった仮説③とを組み合わせて、カートに入っていて未購入かつ期限間近の写真を効果的にお知らせする機能施策を設計しました。

設計する上でチームのエンジニアやデザイナーと仕様に関する議論がありました。
「購入し忘れている写真がないかをお知らせしたいが、保育サービスとしての本来の利用を妨げてはいけない」というバランスです。特に朝の時間帯は、保護者の方が出欠連絡や連絡帳の送信、登園対応など重要な操作をコドモンのアプリで実施する時間です。この忙しいタイミングでお知らせが邪魔になることは避けたい。チーム全員でユーザー体験を第一に考えた結果、時間帯による表示制御や、頻度制限などの細かな配慮を実装することにしました。
仕様を調整しリリースしたこの施策では同じ条件のユーザーで比較したところ、購入率が260%改善しました。施設の写真販売収益の改善は、結果として子どもたちを取り巻く保育環境の充実につながっています。保育 × テクノロジーの領域でも、価値提供と収益性を両立できる手応えを感じた瞬間でした。
まとめ
施策の結果は、多くの仮説検証を経て辿り着いた結果でした。UIや購入フローの改善も一定の効果はありました。しかし根本的な変化は、「大切な思い出を買い逃してしまうかもしれない」という保護者の想いに応える施策から生まれました。
保護者の感情に向き合うことが真の提供価値となり、結果として収益性にもつながる。同じく子育てをする身として、「我が子の写真を見逃したくない」という気持ちは痛いほど分かります。このような感情に応えることこそが、本当の価値だと実感しました。
仮説検証をスピード感を持ってプロダクト主導で実行できる環境がコドモンの強みです。仮説を出し合い、小さく検証し、結果をみながらさらに議論し次の計画を練る高速仮設検証ができるチームコドモンだからこそ、保護者の方の本質的な課題解決に辿り着けると思っています。
これからも私たちは、保護者の方の想いと向き合いながら、価値あるプロダクトを提供していきます。