コドモン Product Team Blog

株式会社コドモンの開発チームで運営しているブログです。エンジニアやPdMメンバーが、プロダクトや技術やチームについて発信します!

育休を1年間取得して得た学びとXPの恩恵

保護者アプリ基盤改善チームにてエンジニアをしている杉山です。コドモンに入社して3年目になります。ちょうど3年目の2023年1月に娘が産まれてきてくれました🎉

ほんとにかわいいです!!👶

執筆時点では娘が1歳半になり、生活が落ち着いてきました。この機会に、育休の経験や復職時の感想などを振り返りたいと思い、この記事を執筆しています。

そもそも育休をどれだけ取得するかとても悩みました。育休をとらないという選択肢は無く、しっかりと育休を取ることで少しでも出産後のパートナーの育児負担を軽減しようと思っていました。

ただ、具体的にどの程度の期間を取るべきかは初めての経験ゆえにわかりませんでした。 2、3か月で十分か、それとも1年必要か。周りの子育て経験者からは、特に最初の半年が大変(実際には今でも大変です笑)だという声を多く聞いたため、最低でも6か月は取得しようと考えていました。

最初の2、3か月でとても大変だと感じたので、延長して結果的に1年間取得することになりました。

パートナーと娘と一緒にいる時間はすべてが貴重で、少しでも長く一緒にいることができて今では取得してとてもよかったと本当に思っています。

育休取得前

娘が産まれるという高揚感を持ちつつ、育休取得前に一般的に業務引継ぎなどの作業が必要となると思います。

コドモン開発チームでは、アジャイル開発手法のひとつであるXPを取り入れているため、属人化が発生することが少なく育休前に業務を引き継ぐようなことはほとんどありませんでした。 XPを取り入れ始めたのはここ2年のことで 、今では開発チーム全体にXPの文化が浸透してきています。それ以前の体制ではおそらく安心して育休に入ることは難しかったと思います。

XPの文化を輸入&浸透させてくれたマネージャーに感謝をしつつ、いよいよ育休が始まりました。

育休が始まる

気づけばあっという間に2、3か月が過ぎ去っていきました😱

最初の2、3か月は初めて経験することが多く、子どもの睡眠時間が安定しないので日中眠ることが多くなったり、家事などに忙殺されてあっという間に過ぎていきました。

本当に忙しく色々やっていたのでこのころの記憶はあまりありません笑。

何をやってもうまくこなすことができず、自分の認識の甘さと知識不足を実感することが多々ありました。

🍼ミルクを飲まない

幾度となくいろんな種類や哺乳瓶を試してミルクを飲ませることに挑戦しましたが、全く飲んでくれませんでした。🥺

赤ちゃんは3時間おきにミルクや母乳を飲まなければいけません。ミルクを飲まないということは夜中に自分が起きても何もすることができないとこの時は思ったので、夜中にパートナーと交代で娘の相手をすることが少なくなっていきました。

そこで夜はパートナーが担当し、日中の家事や他のケアは私が引き受けるようになりました。でも、この分担は今考えるとよくなかったと感じています。パートナーの睡眠の質が低下しており、私はそれに気づくのが遅れてしまいました。

夜起きて、昼寝するのは睡眠の量の確保にはなりますが、質を確保できず、寝れているとはいえ実際の休息にはなりません。

睡眠の質が下がると、ストレスに弱くなることが知られています。それが長続きすると、さまざまな健康問題を引き起こす恐れがあります。睡眠不足でイライラしながら子育てをするのは、いろいろな面で悪循環に陥りやすいと思います。

以下にあるようなことを色々試してみましたが、ときすでに遅しで、負債が大きく膨らむとちょっとした対応ではどうにもできなくなっていました。

pamarry.com

本人も寝ている時間はあまり変わらないのに日中になぜか眠かったり、普段よりも感情的になってしまったりなどがあり、原因もわからなかったために、とても大変だったと思います。睡眠の重要性を私は何も理解していませんでした。

このときミルクを一生懸命に飲ませて夜中に交代できていれば、パートナーの睡眠時間の確保につながって精神的にまいってしまうこともなくもう少し楽に育児ができていたのかなと今では思っています。

母乳やミルクに関して色々考えがあると思いますが、睡眠の確保には母乳だけでなくミルクも飲めるほうが睡眠の確保という点では大幅に負担が減ると思いました。

🧹家事と育児はどちらも大切

家事は私の得意分野であり結構好きなので、そこに楽しさを見出していました。育休中、外出も難しい中、料理にちょっと手を加えたり工夫を楽しんで過ごしていました。

初めは家事を一手に引き受け、育児は少しパートナーに多めにお願いしようと考えていました。しかし、そこが大きな誤りでした。

当時は家事と育児のバランスを取っていたつもりでしたが、実際はそうではありませんでした。

0〜1歳児の面倒をみるというのは体力的にも精神的にもとても削られます。 そのため片方が育児だけに専念したりするとどうしても気が滅入ってしまいます。

家事は日常の中で気軽にできることですが、育児はそうはいきません。

負担を軽減するのに大事なことは、片方が育児だけに専念せずにしっかりと話し合いを行い、お互いにとってなるべく家事と育児が均等になっていると納得している状態が本当に負担が軽減されているのだと感じました。

当時は体力的・精神的に辛いものがあったと今でも申し訳なく思っています。今考えると家事をすべてやっただけで育児の負担と均等になっていると思っている時点で間違いでした。

あと、あくまで補助するという考えになっていたことも反省しています。 サポートするという考えは根底に自分が主体ではないという意識があるから来るもので、育児というものを主体的に考えることができていませんでした。

今では家事の分担などのことは自然と決まってきていますが、育児が大変になる前までに家事の分担はしっかりと話して決めておくのがよいと思います。

🏡引っ越し

最初のころは横浜に住んでおり、横浜生活を満喫していました。ちょっと行けば山下公園はあるし、海は近くて雰囲気がとてもよかったです。

横浜は気に入っていたのですが、4、5か月が経ったころに実家の近くの静岡に引っ越しをすることに決めました。理由は2つあります。

1つ目は横浜に坂が多かったこと

娘が産まれて少し過ぎたころにベビーカーに乗るようになりました。

今まで抱っこ紐で抱っこしていたのが、ベビーカーになることで移動の負担がかなり軽減されとても感動したのを覚えています。 毎日公園に行き散歩していました🚶

ズーラシアにベビーカーでお散歩に行ったときの写真

しかし、坂の多い横浜でベビーカーの移動は想像以上の負担でした。買い物したら荷物をベビーカーに引っ掛けて帰るのですが、少しでも荷物が多いと何度かひっくり返りそうにもなりました💦

静岡は平坦な土地が多く、ベビーカーを押すのはとても楽です。移動はとても楽になったのですが、横浜に比べて広く自然が多い公園が少ないので少し寂しく感じることがあります。

2つ目は親の助けが必要になったことでした。

4、5か月が過ぎたころ、睡眠不足に伴う弊害が多々起きていました。そこでパートナーと話し合って両親に少し助けてもらうことにしました。 「頼れるものは頼ったほうがいい」と知り合いにも言われていたので、遠慮なく頼ることにしました。

静岡への移住は、これらの点で非常に助かっています。親の近くに住むことで、家族全員の負担が軽減され、楽しく安心して生活することができるようになりました。

一時預かり施設に助けられる

静岡に引っ越したのち、娘が1歳近くになるころにパートナーが体調を少し長く崩す時期があり、その間ワンオペですべてを対応しなければいけないことがありました。

私は体力には自信がありましたが、家事育児をすべてこなしパートナーの看病もとなるとさすがに体力の限界を迎えていました。

私の両親にも多々頼ることもありましたが、それでもカバーしきれませんでした。

そんなとき、日中預かってくれる一時預かり施設*1の存在を知りました。今考えると本当に何も知らなかったんだなと思います。

通うことができそうな一時保育をやっている保育園に片っ端から連絡をとりましたが、残念ながら直近すぐに受け入れられるところがありませんでした。諦めていたのですが、支援センターの一時預かり室というところを見つけそこでなんとか日中見てもらうことができました。

急な申し出にも快く受け入れてくださった支援センターの方々には本当に感謝しかありません。

もし見てもらうことができなかったら夫婦共倒れしていた可能性があり、考えるだけでも怖いです。

自分の関わっている仕事は、自分のように育児などで困っている人たちを支える人の手助けをしていると考えると仕事のモチベーションがとても上がります。

その施設では弊社のサービスは導入されていませんでしたが、いずれ導入していただき少しでも業務の負担を減らすことで恩返しができればなと思っています。

復職後

一時預かりに預けることができたこともあり、その後少しずつパートナーの体調と自分の体調がよくなっていきました。

ついに1年間の育休が終わり、娘が保育園に通い始めました。

普段エンジニアをしていると外に出ない日があるのも珍しくありません。そのため運動不足を少しでも解消しようと娘の送り迎えは基本的に私が行くようにしています🚶

保育園は徒歩圏内にあるので最初のころは抱っこ紐で登園していましたが、最近は電動自転車なる素晴らしいものを購入したのでとても快適です🚲

下の写真は初めて自転車に乗ったときの写真です。モザイクをかけていてわからないと思いますが、不安げな表情をしていてとても可愛いです。

初めて自転車に乗ったときの写真(ヘルメットはしっかりしました)

最近は「パパ、いた」などの2語喋ることができるようになり、朝の送り迎え中にお話ししながら登園しています。可愛くて仕方がありません。。。

タスクの進め方の変化

復職後は現在のチームであるアプリ基盤改善チームにジョインしました。

復職前は9時〜18時の9時間仕事をしていましたが、普段から私が娘のお迎えに17時ごろに行くこともあり、業務時間が少し足りなくなっていました。

集中して作業する時間を確保するために、娘が起きるより前の朝の6時くらいに起きて作業をするようにしました。


6時〜7時:仕事

7時〜8時:朝の準備&送り迎え

9時〜17時:仕事

19時〜:ちょこっと仕事


お迎え後の夜になっても、朝早く起きても当然ですが作業しているチームメンバーはほとんどいません。そのため個人で作業する時間が少し多くなっていました。

XPではペアプログラミングが推奨されているので個人で作業する時間が増えてしまうと、属人化や情報共有の時間などが増えてしまい、XPのプラクティスに従えなくなってしまいます。よくない状態が少し続いていると感じたので、週に1回ある振り返り(レトロスペクティブ)でタスクの進め方について共有しました。

以下は実際に出た振り返りの内容です。付箋の色は特に気にしないでください🙏

振り返りで出てきたタスクの進め方
振り返りで出てきたタスクの進め方

出てきた内容を見てみると、タスクの進め方について色々思っていたのは他のメンバーも同じでした。これらの付箋が出てきた後に、今度の進め方をどのようにすべきかについて話し合いました。

振り返りで出てきたタスクに関してのまとめ

話し合った結果、プランニングのタイミングでタスクをペアでやる必要のあるものと、ソロでできるタスクを明確にしておこうということになりました。

しかしどのタスクがソロでどのタスクをペアでやるかの基準が必要でした。そこで話し合いを行い以下のような基準を設けることにしました。

ソロタスクかペアタスクかの基準

タスクの中で発生する調査・ちょっとした技術検証などの単純作業などはソロで行えることとしました。ソロタスクには🙋マークをつけてぱっと見でわかりやすいようにしています。

どのタスクがソロのタスクなのかをみんなで話し合い明確にするのは少し時間がかかりますが、ソロの時間が多くなっている現状ではこれがよいと判断しました。

ソロでできるタスクを検討することで自ずとタスクの粒度が小さくなり、見積りの精度も上がったような気がします。

何か気になることがあれば振り返りでお互いに意見を出し合い、自分たちに合わせて柔軟に対応する姿勢がチーム全体にあるので、各々の働き方や生活に合わせてもらえるのがとてもありがたいです。

育児とXP

少しXPの話になりますが、あらためて育休を振り返ってみると、実はXPの考えやペアプログラミングなどのプラクティスが育児の方法としてとてもよいのでは?と思っていることが多々あるのでご紹介します。

冗談のように聞こえるかもしれませんが、至って真剣に書いております。

XPに関してはわかりやすいと思っている記事を置いておきます。

tech.uzabase.com

asana.com

XPでは5つの指針となる価値観、5つのルール、そして12のXPプラクティスによって成り立っています。

これらを遵守し短い開発サイクルと最小限のドキュメンテーションで、スピードとシンプルさを追求するのがXPです。

12のプラクティスのうちいくつかを育児で実践したことで育児を円滑に進めることができました。それらのプラクティスを紹介したいと思います。

ソースコードの共同所有

誰が作ったソースコードであっても、開発チーム全員が断り無く修正を行うことができる。 ただし、すべてのコードに対する責任を、全員が担う。

これはつまり「チーム全体の責任が自らにあることを自覚すること」ということだと思っています。仮に自分以外の誰かのミスであってもXPに則っている以上その責任は自分にもあるということです。

このプラクティスがあることで、チーム内で起こることに対して任せきりになったりすることがなくなります。また、責任を持つという意識が変わることで自主的に動くことができます。

上記で話した家事の分担に関して、私は育児に関して全く責任を持つことができていませんでした。 今考えてみると「育児で何かあった場合に自分に責任を取れるのか」と自問したときに、私は「はい」と即答できなかったことでしょう。

家族の責任は自分の責任でもあるという意識が薄く、どこか責任や面倒臭さから目を背け、家事を多めにやって、なんとなくやった気になっていたのだと思います。

責任をもつ意識さえあれば、家事を多めにやって育児を多めに見てもらうという分担にはせずに、自分が十分に責任を持って面倒を見れるまで育児に取り組み、家事はお互いにできる範囲で分担していたと思います。

ペアプログラミング

二人のプログラマーがペアで開発を進めるのを基本とする。一方がコードを記載し、もう一人がそれを確認しながら開発の補佐や支援の役割を担う

実際の開発ではペアプロにより属人化を減らし、同じ時間で集中してよい結果を出せるようになります。

ペアプロの考えは育児をするすべての人が持つべきだと思います。

以下のような問いに対してすぐに答えることができるでしょうか?

  • 「ミルクをしっかり作れますか?」
  • 「次に打つ予防接種はいつかわかりますか?」
  • 「園に持っていくものをすぐに準備できますか?」
  • 「ワンオペで1日見ることができますか?」

何を聞いたかというと、夫婦のどちらか片方しかできないことはないかを聞いています。 これらは1度でも一緒にやれば即答することができるでしょう。

私は育児に関して、基本的に何か新しくやらなければいけないことがある場合はパートナーと一緒にやるようにしています。そのときに出た疑問はお互いにちゃんと理解ができるまで話し合います。一緒にやることでどちらかが体調を崩しても対応することができますし、育児に主体的になることができます。

同じ時間に作業をすることで疑問はすぐに解決することができますし、その場でフィードバックももらうことができます。すぐに改善して翌日以降に活かすことができることでしょう。

すべてをペアでやる必要はないと思いますが、「どちらかが体調を崩した場合に問題ないだろうか」と自問自答しながら取り組むことで、持続可能な育児になると思います。

私が経験した育児では、XPのいくつかのプラクティスを育児にも取り込むことで責任感と主体性が増し、持続可能な育児になると感じました。

XP自体が個人の責任感と主体性が増し、変更に対する柔軟性を持ちつつ、チームとして持続可能な開発をすることができるものだと思っているので、組織がチームではなく家族という形になった場合でも、プラクティスを取り込むことで似たような効果を得ることができるのだと思います。

開発者🧑‍💻としてXPの恩恵をとても感じていたのですが、パパ👨としても恩恵を感じることができました。

最後に

大変なことも色々ありましたが、今では寝ている私の顔を踏みつけるまでに成長しました☺️

パパを踏みつけるまでに成長した娘

子育てを通じて人間的に成長させてもらえたような気がします。

会社全体にもエンジニアにもパパママが多く育児に関して理解があるため、子どもの急な対応が入って少しだけ抜ける時間があっても「行っておいでー」と優しく対応してくれます。

育児に関してわからないことがあっても先輩パパにいろいろ聞いたりしてとても助かっています。理解のある人が周りに多くいるのはとても心強く感謝しています🙏

もし今後この記事で書いたような反省と学びを活かせる機会がある場合には全力で取り組みたいと思います。

これからもライフとワークのバランスをとりながら、コドモンのミッションでもある、子どもを取り巻く環境をテクノロジーの力でよりよいものにすべく頑張っていきます。

*1:病気、出産、育児疲れなどにより一時的に家庭で保育ができなくなった場合に、子どもを預かり必要な保育を行う施設