コドモン Product Team Blog

株式会社コドモンの開発チームで運営しているブログです。エンジニアやPdMメンバーが、プロダクトや技術やチームについて発信します!

PdM2人体制で生まれたモヤモヤをデリゲーションポーカーで解消しよう💪

こんにちは、ベースチーム所属の天川です。この記事では、6月から私たちのチームがPdM2人体制になり生まれた問題とそれに対してデリゲーションポーカーというワークを試したお話をします。

ワークを通して役割分担が明確になるだけでなく、できたてのチームで現在のスキル感やこれから挑戦したい業務のイメージが共有できるメリットを感じました。 PdMだけでなく、チーム内で責任範囲が分かりにくく動きづらいと感じる人にぜひ試していただきたいです。

PdMが2人体制になった!

私が所属するベースチームは、6月に2つのチームが合併して生まれた新しいチームです。元のチームにPdMが一人ずついたため、合併後はPdMが2人のチームになりました。

しかし、コドモン内でも初めての構成だったこともあり、業務の割り振りやメンバーとのコミュニケーションで困りごとが生まれました。2人のPdMとしてのキャリアが半年・1年と浅かったこともあり、特に「どこまで自分一人で判断してOKか」「相手の仕事を奪うことにならないか」といった業務範囲に関わる悩みが互いに強い状況でした。

デリゲーションポーカーとは

そんな悩みを社外のPdMに相談したときに勧めてもらったのが「デリゲーションポーカー」でした。 デリゲーションポーカーとは、各トピックに対する権限を7段階のグラデーションに分けて、参加者同士ですり合わせをしながら権限移譲を行っていくワークです。

developers.cyberagent.co.jp

課題だった業務の洗い出しと責任範囲の認識合わせにちょうど良さそうだったので、1時間でデリゲーションポーカーを行いました。

実際の流れ

1. 話し合いが必要なトピックの洗い出し

ベースチームは担当する機能群が広いので、企画・プロジェクトマネジメントについては大まかな機能群で分けました。さらに、プランニングのファシリテーションやロードマップの策定など、今のチームで業務だと認識しているものを広く洗い出しています。

洗い出したPdMの業務(一部)

2. 権限のレベルを自分たちのことばで表現する

デリゲーションポーカーにはあらかじめ決められた7つの権限のレベルがありますが「レベル2. 説得する : 私が彼らに売り込む」のように抽象的でイメージしづらいものもあります。

そこで、実際の業務に合わせたレベル感のすり合わせを最初に行いました。 例えば「レベル5. 助言する」と「レベル6. 尋ねる」は、叩きを相手が作るという点で同じですが、レベル5ではチームメンバー共有の前にPdM内での確認をしたい、のように共有タイミングが異なるものとしました。

付箋上がチームでのレベル感のイメージ

これにより、その後の役割のすり合わせがしやすくなりました。 PdMが2人体制になったタイミングで業務フローの変更はしていましたが、改めて権限(責任)のレベルとそれに合わせた具体的な関わり方の認識を合わせられて良かったです。

3. 自分がイメージするレベルにアイコンを置いていく

各トピックに対して、自分がイメージするレベルに自分のアイコンを置いていきます。このタイミングでは相談せずに黙々と進めます。

相手が合併前に担当していた機能群への関わり方が「レベル5. 助言する」と「レベル6. 尋ねる」でずれている

4. すり合わせ

各トピックについて、自分がそのレベルで関わりたいと思った理由を話します。認識のズレがあった場合は、チームとしてベストな関わり方を話し合い、レベルを調整していきます。

例えば、相手が担当している機能群のissueや改善案に対して、わたしはレベル6(エンジニアなどと同じタイミングで共有してもらえればOK)の認識でしたが、もう一人のPdMはレベル5(チーム共有前にPdM間で共有したい)でした。話し合いの結果、PdMが2人いるメリットを活かしストーリーや指標のクオリティを上げるために、互いにレベル5としました。

相手が合併前に担当していた機能への関わり方は「レベル5. 助言する」で揃えました

5. 普段の業務への落とし込み

4で決めた関わり方を実現するために、現在の業務の流れでOKか話し合います。4で出した、相手が担当していた機能群の例では、実際にレベル5の関わり方をするために「issueのユーザーストーリー、受け入れ条件、指標をチームメンバー共有前にPdMでレビューしあう」という約束を2人で作っています。 また、レビューはissueの質の向上だけでなく、お互いが担当していた機能群の理解も目的であり「レビューのタイミングで、ハードルを思いっきり下げて質問をする。意味のある意見を言おうとしない」という認識合わせができました。

よかった点

モヤモヤする点を共有できた

新体制のスタート時は、仕様検討やチームメンバーとのコミュニケーションなどの効率に加え、PdMとしての業務経験を積む機会が片方に大きく偏ることが懸念でした。 この場を通して、2人とも同じモヤモヤを抱えていたことが分かると同時に、2人体制を強みにするための相談ができました。現在はissueのレビューだけでなくPdMの仕様検討時のチェックリストを追加して、仕様の質を上げる取り組みを継続しています。

今後チャレンジしたい業務や身につけたいスキルの話ができた

第1回のデリゲーションポーカーの結果、特定の機能に該当しないタスク(チームビルディング系やロードマップ作成)は一緒に取り組んでいますが、今後はお互いの得手不得手やチャレンジしたい内容でバランスを変えてもいいのではという案が出ました。

例えば、私は具体的なタスクを進めるための調整や進捗管理は経験がありますが、もっと長く年単位でプロダクトの将来を考えたり、そこに向かってチームを鼓舞していくようなコミュニケーションは得意ではありません。 そこで、あえて長期のロードマップの説明をやらせてもらい、逆に、自分が今まで多めに拾ってきた技術寄りのissueをもう一人のPdMに担当してもらうといった割り振りも今後はできそうです。

業務分担について話すだけではなく、今のスキル感と今後どのようなスキルを伸ばしたいかの話をチーム結成1か月で共有できたのはとても良かったと感じています。

実際の会話メモ

最後に

今回はオリジナルのデリゲーションポーカー(「実際の流れ」の1〜4)に、業務フローへの落とし込みや今後の業務分担についての会話を加えて、やや内容を拡張してみました。

デリゲーションポーカーは権限移譲のためのワークなので、オリジナルに内容を追加したことでより本来の目的を実現できるワークになったのではと感じています。